USバンクスタジアムの 高性能な スタジアム 照明設備

 2018年2月4日、全米の目はスーパーボウルが行われているミネソタ州にあるUSバンクスタジアムに注がれました。USバンクスタジアムはミネソタバイキングのホームグランドであり、また、一年を通じて国内および国外の多くのイベントに使われています。
 スタジアムは、透明で角度をもった独特屋根の構造により、16万平方メートルにもおよぶ設備は、バイキング船に似ていると言われています。このミネアポリスの特徴的な建物は、スタジアム建設の新しい時代を示すものであると言えるでしょう。

 「MESの問題解決」

 数多くの来場者およびテレビ観戦をする観客は、そこで行われる競技のすばらしさに注目はするものの、それを演出する照明設備に注目することはほとんどありません。このスタジアムの照明設備は、高性能LEDメーカーであるエフェソス照明(Ephesus Lighting)が製作したもので、部品の生産および供給のグローバルメーカーであるMESは、イートン(Eaton)グループの照明事業を行っているエフェソス照明などのメーカーに対し、技術的な問題解決策を数多く提供してきています。
 今回のスタジアムの照明設備は、放熱のために広範囲にリブが必要な照明器具本体が考えられました。使われる部品は、組み立てられた最終製品に対して行われる漏れ試験の際に検知される気泡(porosity)などの内部欠陥を、きわめて少なくする必要があり、組み立ての際必要な鋳抜きおよび機械加工による穴がついていました。そしてこの部品は大型で重量があり、MESの2000トン以上のダイカスト機によって生産されました。

 エフェソス照明の一番重要な品質要求は、製品中の気泡(porosity)に関することでした。ダイカストの生産過程で、アルミニウム溶湯中に空気が巻き込まれ、製品中に気泡が生じてしまいます。今回の製品については気泡の発生を抑える必要がありました。製品に気泡があると、その中に湿気が閉じ込められ、水分が凝縮して電気のショートを引き起こす可能性があるからです。
 スーパーボウルのような重要なイベントが行われる場所だけに、このような問題が起きないような照明設備をつくる必要があり、それは簡単なことではありませんでした。

「MESの対策」

部品金型の設計を何回かにわたって見直し、気泡発生の懸念が生じないよう、金型内での溶湯の流れを改善しました。MESは金型内での溶湯の流れ解析を行い、金型内のランナー、ゲートの位置を含め最適な金型設計を行いました。また、初期の段階では、流れ解析のソフトを使用して金型設計を適切に行い、金型の試験期間の短縮を行いました。MESの技術者は、ベントの改良や位置の追加などして、空気が逃げやすい金型設計を行い、またランナーを使い金型内の溶湯の流れを変えることで、金型内の温度を一定に保ち、溶湯の流れをよりスムーズにすることができました。

機械加工後の製品表面での気泡をなくすための、金型の修正を行い、機械加工の方法を確立しました。MESは漏れ試験を行うため圧力試験モデルC2oSentinetを使用し、今後も同様な試験ができる体制を整えることができました。
MESの優れた金型設計とその試作対応により、ダイカスト品の変更を含む顧客からの幅広い要求に応えることができました。この方法により、MESでは個々の建物環境に応じた照明器具を生産する多くの知見を得ることができたのは間違いありません。
MESは、新しい照明器具の計画が提案されれば、設計から生産までのサポートを提供することができるグローバルメーカーです。

「MESが導いた結果」

実際、スーパーボウルでの照明はとても素晴らしいものでした。この実績はエフェソス照明(Ephesus Lighting)がスタジアムの照明設計、開発に十分な能力があるということを証明することとなりました。全体の照明設備から見ればMESが担当した部分は小さいかも知れませんが、照明器具の性能保持に必要なアルミニウムダイカスト部品の気泡を除くという重要な問題に、大きく貢献したことは間違いありません。

  • スタジアム照明のヒートシンク部品
  • 重量11kg
  • 中国の生産委託先でパウダーコーテイング、機械加工後、漏れ試験を行った